フッ素を利用して、むし歯を予防しましょう

フッ素には、むし歯の予防効果があります。

フッ素を利用してむし歯を予防する方法にはいくつかあり、歯科医院でフッ化物を歯面に塗布したり、フッ化物溶液で洗口したり、フッ化物配合の歯磨剤で歯磨きをしたりする方法などがあります。

どの方法もむし歯予防に効果があり、組み合わせることで、より予防効果は高まります。

フッ素とはなんでしょう。

フッ素は生体必須微量元素です。

地中にも海水にも含まれている自然環境物質で、土壌1kg中に約230mg(230ppm)、海水1R中に約1.3mg(1.3ppm)含まれています。
地球上のすべての動物、植物にも含まれており、私たちが毎日飲む水や食べる海産物、肉、野菜、果物、お茶などほとんどの食品に微量ながら含まれています。
もちろんこれらを飲食するみなさんの歯や骨、あるいは血液中などにもフッ素は存在しています。

人間の体内には、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄に次いでその含有量が多く(13位)、体重50㎏の人であれば2gが体内に存在しています。(鉄は4g)

フッ化物のう蝕(むし歯)予防メカニズム

図1

フッ素イオンの抗う蝕作用は、歯質 と 歯垢細菌 という2つの主なターゲットに対して効果を発揮します。
第一は、エナメル質や象牙質といった硬組織に対する作用で、
①ハイドロキシアパタイトの結晶性の改善が主であり、
②フルオロアパタイトの生成
③再石灰化の促進作用により歯質を強化し、耐酸性を向上させます。

つまり
歯のエナメル質は99%がリン酸カルシウムの結晶からなり、
ハイドロキシアパタイトと非常に良く似た構成をしています。
しかし、エナメル質アパタイトは結晶性が低いため、結晶の不完全な部分から
カルシウムが溶出したり、唾の中にあるカルシウムが取り込まれたりしています。
これが虫歯のなりやすさと関係しています。
フッ素が歯に取り込まれると、水酸基と置換してフルオロアパタイトになります。
フルオロアパタイトは結晶の不整な部分を修復し、ハイドロキシアパタイトよりも
水や酸に溶けにくい安定した結晶にします。これが虫歯予防につながります。

第二は、口腔内の環境因子に与える影響で、主に
①歯垢中細菌の解糖系に対する抗酵素作用により、
酸産生を抑制することであり、その他
②多糖体の合成阻害や
③抗菌作用があげられます。

日本のフッ化物配合歯磨剤のシェアと12歳児のDMFT指数

図1

フッ化物配合歯磨剤の普及とともに、う蝕罹患率が低下していることがわかります

DMF指数   集団における永久歯列のう蝕罹患状態を知るために用いられる。
D(decayed tooth) 未処置う蝕歯
M(missing tooth; because of caries) 喪失歯(う蝕が原因で抜去された歯)、機能を喪失した高度のう蝕歯を含めることもある
F(filled tooth) う蝕が原因で処置された歯
DMF指数には、DMFT指数(Tはpermanent toothの略)とDMFS指数(Sはpermanent tooth-surfaceの略)があり、それぞれ集団の1人平均値を表す。次式より算出する。(ここでは前者のみ)

年齢によるフッ素の活用

年齢別のフッ素活用方法について紹介しています

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