フッ化物のう蝕(むし歯)予防メカニズム

図1

フッ素イオンの抗う蝕作用は、歯質 と 歯垢細菌 という2つの主なターゲットに対して効果を発揮します。
第一は、エナメル質や象牙質といった硬組織に対する作用で、
①ハイドロキシアパタイトの結晶性の改善が主であり、
②フルオロアパタイトの生成
③再石灰化の促進作用により歯質を強化し、耐酸性を向上させます。

つまり
歯のエナメル質は99%がリン酸カルシウムの結晶からなり、
ハイドロキシアパタイトと非常に良く似た構成をしています。
しかし、エナメル質アパタイトは結晶性が低いため、結晶の不完全な部分から
カルシウムが溶出したり、唾の中にあるカルシウムが取り込まれたりしています。
これが虫歯のなりやすさと関係しています。
フッ素が歯に取り込まれると、水酸基と置換してフルオロアパタイトになります。
フルオロアパタイトは結晶の不整な部分を修復し、ハイドロキシアパタイトよりも
水や酸に溶けにくい安定した結晶にします。これが虫歯予防につながります。

第二は、口腔内の環境因子に与える影響で、主に
①歯垢中細菌の解糖系に対する抗酵素作用により、
酸産生を抑制することであり、その他
②多糖体の合成阻害や
③抗菌作用があげられます。